お金とルール読む目安 8分
値上げも振替も、その場で決めるから苦しくなります
月謝の決め方、値上げの伝え方、振替と未納の線引き。どれも、頼まれてから考えないで済む形を先に作る話です。
公開 2026年7月27日最終更新 2026年7月27日著者 HATOP編集部
この記事の結論
値上げで生徒が抜ける原因は、金額よりも、伝える時期と伝え方にあります。3か月前に、理由を1つだけ書いた同じ文面を全員へ出すと、退会はほとんど出ません。振替も未納も同じで、頼まれてから考えるのをやめて先に紙にしておくことが、唯一の対策になります。
月謝は、どうやって決めればいいですか?
近所の相場から決めると、必ず安くなります。1か月に要る額と、レッスン以外にかかっている時間から逆算するほうが、あとで苦しくなりません。
近所が7,000円だから、うちも7,000円。この決め方をすると、教室の広さも経費もまるで違うのに、同じ額になってしまいます。順番としては、こうです。
1か月に要る額を書き出す
生活費に、教室の家賃、光熱費、教材費、保険、通信費を足します。ここに、休んだ月のための積み立ても入れておいてください。
教えられる枠の数を数える
1週間に何コマ開けるかを数えます。満席の前提ではなく、8割が埋まった状態で数えるのが現実的です。
レッスン以外の時間を足す
準備、連絡、会計、掃除、移動を1週間ぶん足します。ここも仕事の時間です。
時給に直して確かめる
1か月の月謝の合計を、レッスン以外を含めた総時間で割ります。出てきた数字が、いま自分が働いている時給です。
月謝に含めるかどうかを決めておくもの
- 教材費と楽譜代
- 発表会や審査の費用
- 冷暖房費や施設の使用料
- 兄弟で通う場合の扱い
- 月に5回ある月と、4回しかない月の扱い
値上げは、いつ、どう伝えればいいですか?
3か月前に、全員へ同じ文面で出します。理由は1つだけ書きます。個別に伝えると、あとから説明のつかない差が残ります。
| 時期 | やること | 起きること |
|---|---|---|
| 3か月前 | 全員に同じ文面で伝える | 考える時間があるので、感情的な反応が出にくい |
| 1か月前 | 予定表やお知らせに、もう一度出す | 忘れていた家庭が思い出す |
| 当月 | 新しい額で受け取る | 問い合わせはほとんど来ない |
直前に言うと、値上げそのものより「急に言われた」ことに反発が出ます。時間を空けておくのが、いちばん安上がりな対策です。
書くこと、書かないこと
- 理由は1つだけ書きます。3つ並べると、かえって言い訳に見えます。
- 謝りすぎないでください。「申し訳ございませんが」を繰り返すと、悪いことをしている印象だけが残ります。
- 値上げと同時に、新しいサービスを付けないでください。付けてしまうと、次に上げるときもまた何かを付けることになります。
- いつから、いくらになるのかは、数字で1行書きます。
いつも通っていただき、ありがとうございます。
10月から、月謝を8,000円に改定します。現在より500円上がります。
教材と光熱費の値上がりが続いているためです。
9月まではこれまでの金額です。ご不明な点は、レッスンのときにお声がけください。
これからも、一人ひとりの様子を見ながら進めてまいります。よろしくお願いします。
5行あれば十分です。長く書くほど、こちらの迷いが伝わってしまいます。
振替のルールは、どこまで決めておけばいいですか?
「何回まで」だけでは足りません。対象、期限、振替先の枠、回数。この4つが決まっていないルールは、結局は断れないルールになります。
| 決めること | 決め方の例 | 決めていないと起きること |
|---|---|---|
| 対象 | 本人の体調不良と学校行事のみ。家族の都合は対象外 | 何でも振替の対象になり、月謝が回数券のようになる |
| 期限 | 翌月末まで | 半年前の分を持ち出され、記録も追えなくなる |
| 振替先の枠 | 決まった曜日の決まったクラスのみ | 先生の休日に個別レッスンをする形になる |
| 回数 | 1か月に1回まで | 毎週振替になり、本来のクラスが空く |
効くのは3つ目です。振替先を決めていないと、先生の休みが振替に使われます。もともと開いているクラスの中からだけ選べる形にしておくと、休みが残ります。
振替は、本人の体調不良と学校行事のときにできます。
1か月に1回まで、翌月末までにお願いします。
振替先は、ほかの曜日の同じクラスから選べます。予定はこのページで確認できます。
当日のご連絡でも振替はできます。前日までにお知らせいただけると助かります。
断りきれないときの言い方
断る文に理由を足すと、そこを崩されます。ルールを示して一文で終えるほうが、結局はおたがいに楽です。
お知らせいただき、ありがとうございます。
振替は1か月に1回までとしています。今月はすでに1回お使いいただいているので、今回はお休みの扱いになります。
来月の振替は、また使っていただけます。
「今回だけ」を1度でも作ると、次からルールはないのと同じになります。例外を作らないことが、いちばんの親切になります。
月謝の未納には、どう対応すればいいですか?
催促を先生の勇気に頼らない形にします。手渡しをやめて引き落としにすると、未納そのものが減ります。
| 集金の方法 | 先生の手間 | 未納の起きやすさ |
|---|---|---|
| 手渡し | 大きい。おつりと集金袋の管理が要る | 起きやすい。忘れたと言われるとそれまで |
| 銀行振込 | 中くらい。入金の確認を自分でする | ときどき起きる |
| 口座振替やカード払い | 小さい。引き落としの結果を見るだけ | 起きにくい。残高不足のときだけ |
手渡しは、毎月、生徒の前でお金の話をすることになります。子どもが集金袋を忘れれば、催促するのは先生です。ここを変えるだけで、気持ちの負担はかなり軽くなります。
未納が起きたときの3段階
1回目は、事務の連絡として送る
責める言葉は入れません。「今月分の入金が確認できていません。行き違いでしたら申し訳ありません」くらいで構いません。
2回目は、期限を書いて送る
いつまでにお願いしたいかを1行だけ書きます。期限がないと、いつまでも先送りされます。
3回目は、話す場を作る
続けられる形を一緒に考えます。休会や、支払い方法の変更をこちらから先に出してください。
いつもありがとうございます。事務のご連絡です。
7月分の月謝の入金が確認できておりません。行き違いでしたら申し訳ありません。
ご確認をお願いします。
事務作業は、どこから減らせますか?
教室の事務で時間が消えるのは、同じことを何度も伝える作業です。予定を一か所に集めて、そこを見てもらう形にするのが最初の一手になります。
「今日ありますか」への返信、休講の連絡、持ち物の確認。教室の事務でいちばん時間を使っているのは、この繰り返しだと思います。
| よくある作業 | 減らし方 |
|---|---|
| 「今日ありますか」への返信 | 予定を一か所に出して、そこを見てもらう。休講もそこに出す |
| 休講の連絡を一人ずつ送る | 1回の更新で全員に伝わる形にする |
| 体験の問い合わせに電話で答える | 費用と持ち物を先に書いておき、申し込みは文字で受ける |
| 月謝の集計 | 集金の方法を変える。手渡しをやめる |
入会のときに渡す一枚には、何を書きますか?
月謝、振替、休会、退会、連絡。あとで揉めるのは、たいていこの5つのどれかを書いていなかったときです。
一枚に書く7項目
- 月謝の額と、そこに何が含まれているか
- 支払いの方法と、毎月いつ払うか
- 月に5回ある月と、4回の月の扱い
- 振替ができる条件と、期限と回数
- 休会の条件と、その間の費用
- 退会するときは、いつまでに伝えるか
- 連絡の窓口と、返事が来る時間帯
この一枚があると、そのあとの会話がぜんぶ楽になります。断るときも、自分の判断ではなく、渡した紙の話にできるからです。
よくある質問
- 月謝の値上げ幅は、どのくらいが目安ですか?
- 一度に上げる幅は、月謝の1割前後までに収めると説明しやすくなります。何年も据え置いてから一度に大きく上げるより、数年おきに小さく上げるほうが退会は出にくくなります。
- 値上げのとき、いまいる生徒だけ据え置いてもいいですか?
- 半年から1年と期間を決めて据え置くなら有効です。ただし期限を決めずに据え置くと、同じクラスに2つの月謝が並んだままになり、あとから説明できなくなります。
- 振替の回数は、何回までがいいですか?
- 1か月に1回までから始めるのが扱いやすいと思います。回数より大事なのは、振替先をもともと開いているクラスに限ることです。ここを決めないと、先生の休日が振替で埋まります。
- 月謝を手渡しでもらうのは、やめたほうがいいですか?
- やめたほうが負担は減ります。手渡しは、おつりと集金袋の管理が毎月発生し、忘れられたときに催促するのは先生です。口座振替やカード払いに変えると、未納そのものが減ります。
- 発表会費や教材費は、月謝に含めるべきですか?
- 含めても分けてもかまいませんが、入会のときにどちらかを書いておいてください。あとから別に請求すると、聞いていないという話になります。
この記事を書いた人
HATOP編集部
月謝制の個人教室のための予定表サービス「HATOP」運営
空手道場、ピアノ教室、スイミング、学習塾など、先生が一人で切り盛りしている教室のための予定表サービスを作っています。ここに書いているのは、その設計のなかで整理してきた教室運営の型です。
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